『チャーミーズ・アーミー』コミック連載 — ポンコツ探偵団 — 第6話:日曜定休日:事件もお頭もスカッと解決?!

今週のコミックは、フォート・ヒルの大捜索劇が爆笑の結末を迎えます! 基地じゅうで仲間たちが血眼になって自分を捜し回っていると風の噂に聞き、当のドック(Doc)が白衣姿でふらりと「キャンディ・バー」に現れました。姿を見せなかったからてっきり誘拐されたのかと思ったとフレンシー(Frenchy)がパニック交じりにまくし立てると、ドックから真顔で冷水が。「今日は日曜日だぞ。日曜に働くわけないだろ」。……普通なら穴があったら入りたいところですが、そこはチャーミー(Charmy)たち。恥じ入るどころか「初事件をスカッと解決したぜ!」と大はしゃぎ。すかさずドックが「確かにスカスカに割れてる(cracked)な……事件じゃなくてお前らの頭がな」と呆れ果てるのでした。
西日の差し込む「キャンディ・バー」の入り口に、ドックのひょろりと背の高い影がぽつんと立ち止まりました。寝癖頭に乗っかった額帯鏡は斜めにずり落ち、朝の惰眠を満喫したせいで白衣にはしわが寄っています。脇には丸めた日曜版の新聞を抱え、手にはシナモンロールの紙袋。どこからどう見ても、人生で危険な目に遭ったことなど一度もない男のたたずまいでした。
「ドック!」
全員の声がぴったり重なりました。
フリンプがカウンターを身軽に跳び越え、ドックの肩に飛び乗ると、銃創や毒矢の痕がないか確かめようと白衣を激しく引っ張りながらキイキイと叫び立てました。紡木(Weaver)は朝の8時からずっと止めていた息をようやく吐き出し、フレンシーは信じられないといった様子で自分の額帯鏡を抱え込みました。
「みんなで俺を捜してたんだって?」
ドックはひどく億劫そうに、世捨て人のような醒めた声で目の前の珍妙な一味を見回しました。
「さっき郵便係の娘がうちの宿舎の前を血相変えて走り抜けてったぞ。『トレンチコートを着た不審者の集団が広場で手当たり次第に通行人を引っ張っていってる』って悲鳴あげながらな」
フレンシーが芝居がかった切迫感で一歩詰め寄りました。
「だって、今日ちっとも仕事に出てこないんだもの! さらわれたって思うじゃない! カウンターのお姉さんを取り調べたり、あなたの経歴を洗ったり、Etsy(エツィー)認定のお医者様(=フレンシー自身)の所見まで仰いだのよ! 紡木なんか危うくマギー神父に基地まるごとの臨終の祈りを頼みかけるところだったんだから!」
ドックはフレンシーをじっと見つめました。それから、だぼだぼのコートに埋もれた紡木に視線を移しました。そして最後に、まるで自由世界の危機を救った敏腕刑事のようなツラで胸を反り返らせているチャーミーを見下ろしました。
ドックは手にしていた紙コップからコーヒーを一口すすると、短いため息をこぼしました。
「今日は日曜日だ。俺は日曜には働かない」
店内の空気が一瞬で凍りつきました。
カウンターの奥で、バーテンダーが吹き出しました。ソーダサーバーに突っ伏し、目尻の涙を拭いながら腹を抱えて笑い転げています。紡木の触角は力なく折れ曲がり、いまにも床板につきそうでした。フリンプもドックの耳かきの手をそっと止め、いたたまれなそうに自分の虫眼鏡を見つめています。
ところが――チャーミーだけは違いました。長年軍の規律をすり抜け、どんな赤っ恥も都合のいい大勝利に仕立て上げてきた彼の脳みそが、瞬時に事実を書き換えます。ドックの顔を見上げ、紡木とフレンシーを振り返ると、その口元に悪だくみ満載のニヤリとした笑みが広がりました。
「おいおい……ってことは、お前ら……」
チャーミーの瞳が、狂気をはらんだ歓喜にギラリと輝きます。
紡木はぽかんと瞬きしました。
「何が『ってことは』なんだよ、チャーミー! ドックが優雅におやつを食ってる間、俺たちはせっかくの非番を丸一日ドブに捨てて探偵ごっこしてたってことだろ!」
「違うね、このウスノロ!」
チャーミーは叫び声を上げると両腕を突き上げ、スツールの上で勝ち誇ったステップを踏み始めました。
「俺たちの初陣は完全勝利だ! 事件は解決したんだよ!」
フレンシーの顔から困惑が消え去り、まぶしいほどの満面の笑みが咲き誇りました。
「本当ね!? 私たち、やり遂げたんだわ! 行方不明者をこの部屋まで追い詰めたのね! キャンディ・バー探偵団、いまだ無敗記録更新中!」
「大解決だ!」紡木までもがその場の異様な熱気にすっかり巻き込まれ、拳を突き上げました。「ドックは無事、フォート・ヒルの治安は守られ、正義は勝ったんだ!」
フリンプは空のシュガーポットを2つ両手に持ち、シンバルのように打ち鳴らして狂乱の雄叫びを上げました。フレンシーはEtsyのインチキ免状をオリンピックの金メダルよろしく頭上に掲げ、誰もいない酒場の隅々に見せびらかしています。
ドックはカウンターの前で立ち尽くし、自分たちででっち上げて自分たちで勝手に解決した「誘拐劇」に酔いしれる4人組を冷ややかに眺めていました。シナモンロールの紙袋をことりと木製カウンターに置き、こめかみをぐりぐりと揉みほぐしながら、助けを求めるような目でバーテンダーを振り返ります。
「……確かに、何かがイカレちまってる(cracked)な」ドックは吐き捨てるように呟きました。「医者じゃなくたって分かる。イカレちまってんのは、目の前に並んでるこの4つの頭の中身だ」
「よせやいドック! そいつは捜査の天才たちの頭脳がフル回転してる音さ」
チャーミーは帽子を跳ね上げ、カウンターに5セント白銅貨をチャリンと叩きつけました。
「お姉さん、フォート・ヒル最高の名探偵たちにチョコレートシェイクを一丁頼むぜ! 伝票はドックの医務室の経費につけといてくれ!」
ポンコツ4人組が架空の手柄に沸き返るなか、フォート・ヒルに夕闇が静かに降りていきました。かくして基地史上もっともおマヌケな事件は幕を閉じ、トレンチコートはクローゼットの奥深くへお払い箱。泣いても笑っても、明日からは地獄の月曜朝の訓練が待っています。
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